オリジナルプリント生地制作会社の選び方・お問い合わせ時に気をつけることって?

「はじめオリジナルの布を発注したいんだけど、どこからどう手を出していいかわからなくって…」という相談をよく受けます。
特に布Lab.をご利用いただいているお客様のほとんどは布づくりが初めてのお客様ばかり。名刺印刷などと違って情報が少なくて難しいですよね。

布Lab.でプリントができるものは喜んでプリントさせていただいておりますが、布Lab.でプリントできるのは、定番生地の綿、10M以上の持ち込み生地でご対応させていただいている麻、シルクなどになります。

サイトにも記載させていただいておりますが、ポリエステルのお問い合わせ頂いてもご対応できません。それでもお問い合わせをいただくのはどこに質問して良いのか分からないお客様が多いということだと思います。

弊社で布づくりのお手伝いができないお客様もせっかく布づくりに興味をもっていただいた方にも布づくりにの手助けになればということで、この記事では、まずは、頼りになるパートナー探しから。ということで、オリジナルプリント生地をプリントしてくれる工場の「選び方」の手がかりになることをお伝えできればと思いますので、ご参考にしてみてくださいね。

ちょいちょい布Lab.の宣伝は挟みますが悪しからず。この記事を読んで布Lab.をパートナーにしたいという方はぜひ布Lab.にご注文してくださいね!

 

目次

  1. 素材は何で作りたいのか
  2. 何メートルから頼めるの?生地の取り扱いは?生地は持ち込み?
  3. サンプル生地は必要経費だと思って買ったほうが良い
  4. メール問い合わせ時に必要なこと

1.生地の素材は何がいいのか。

綿、麻、シルク、ポリエステル…生地の素材は色んな種類があります。その種類ごとに使用されるプリンタ、インクの種類が異なります。それぞれのプリンター、インクでプリントできる素材をざっくり説明すると植物性繊維には(綿や麻)反応染料、動物性繊維には(ウール、シルク。※シルクは反応染料でもプリントを行います。)には酸性染料。ポリエステル系素材には分散染料となります。
また、一部の素材を除いてあらゆる素材の生地にプリントできるものとして顔料プリントがあります。顔料プリントは繊維(糸に)色の付いた接着剤を付けていることになります。わかりやすく言うと絵具を載せているようなもので表面に凹凸感があり、顔料インクにより硬くなる傾向があります。
また、プリント方法が大きく分けてダイレクトプリントと転写があります。それぞれのインクとプリント方法の特徴は以下のとおりです。

ダイレクトプリント(反応染料、酸性染料、分散染料)

反応染料インクは、綿、麻などの植物系繊維をはじめ、シルク、レーヨン、一部ポリエステルを美しく染色。染料ならではの高発色、高色再現性。染料分子が繊維と結合し、耐水性、耐擦過性、耐光性にすぐれます。プリント後、高温スチーム処理で発色させ、色を定着させます(※)。
布Lab.で取り扱っているプリンターはこのタイプになります。

酸性染料インクは、酸の特性を生かし、羊毛、皮革、シルクなど動物性素材や、ナイロン等タンパク質性の化学繊維を高発色で染色します。プリント後、高温スチーム処理で発色させ、色を定着させます(※)。

分散染料インクは、分散染料インクは、ポリエステルやアセテートといった化学繊維へのプリントが可能です。耐光性に優れ、擦れに対する堅牢度が高いことから、カーシートやカーテン、カーペットなどのインテリアテキスタイルのプリントに最適です。また、汗や洗濯にも強いため、アパレル製作にも適しています。従来の昇華インクでは難しかった、高い耐久性が求められる用途に応用できます。プリント後、高温スチーム処理で発色させ、色を定着させます(※)。

※いずれの染料もプリント後、熱・蒸しによる発色、RC(還元洗浄)を行い、余分な染料、糊剤、助剤を洗い流します。この洗浄工程を行うことによって、余分な染料などが洗い流されるので色に冴えが出ます。また、生地の風合いがよく、堅牢度の良いモノができます。しかしながら、この蒸し水洗加工時に蒸し難のリスクがあること、インク量が多いことがデメリットとしてあります。

 

出典 http://japan.mimaki.com/supply/ink/

 

布Lab.の定番生地は、綿素材のみ現在取り扱っております。ポリエステルの問い合わせがあった場合は、布Lab.ではプリントができないのでお断りしております。ロットは大きくなりますが持ち込みの場合は、綿、麻、シルクなど反応染料でプリントできるものであれば対応しております。

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昇華転写プリント

ポリエステル生地へのプリントを検討される方は、分散染料ダイレクトプリント以外に、安価な制作方法として昇華転写があります。

昇華転写インク(分散染料インク)をインクジェットプリンタで転写紙に鏡像(左右反転)印刷し、その転写紙の印刷面を転写素材の転写面に合わせて、熱転写機(ヒートプレス機)にて、180℃~200℃の高温と圧力を加えることにより、昇華転写インクでプリントされた転写紙に熱を加えるとインクが気化し、加熱によりポリエステルの分子鎖がゆるみ、この隙間に昇華転写インクが定着されます。

熱によって発色させるダイレクトプリントと工程は同じですが、昇華転写の場合、通常、洗浄工程は入りません。先程も述べましたが昇華転写は熱によって染料を移染させているので、昇華堅牢度はダイレクトプリントよりも劣ります。熱に当てると他のモノに昇華してしまう恐れがあるからです。

製造コストが安く、製作時間もダイレクトプリントよりも安くなることからポリエステル素材への小ロット対応を行なっている制作会社は昇華転写プリントか次に上げる顔料プリントが多いと思います。

 

出典 http://japan.mimaki.com/supply/ink

顔料プリント

綿生地や縫製品などに直接プリントを行い、加熱することで染料を浸透、染付させるプリント方式です。発色は染料にはかなわないといわれる顔料インクの発色ですが、プリント後に熱処理を施すだけなため、加工コストも低くコストを欠けずに済むのが特徴です。生地の風合いを損ね、固さなどはありますが、生地を選ばないため、ほとんどの生地にプリントが実現。

出典 http://japan.mimaki.com/supply/ink

インクのこととプリンターのことも触れましたが、よくわからないという方は下だけ参考にしてもらえたら良いかなと思います。

生地の色合い、風合い、耐久性を優先するなら素材に合わせて
綿麻シルクなら反応染料、ポリなら分散染料、シルクウールなら酸性染料のダイレクトプリント
素材はポリエステルに決まっていてコストを下げたいということであれば
昇華転写プリント。
コスト重視。生地の風合いも色合いも気にしないということならば
顔料プリント
綿、麻、
レーヨン
絹、羊毛 ポリエステル ナイロン インク概要
酸性染料 動物繊維を染色するための染料
反応染料 植物繊維を染色するための染料
分散染料 ポリエステル系化学繊維を染色するための染料
昇華転写 転写紙にプリント後、熱プレスにてポリエステルに昇華転写させる専用インク
捺染顔料 バインダー(接合剤)入りの顔料

これで染めたい生地の種類と、それに対応するプリント方法がわかりました。これだけで依頼できるプリント工場が一気に絞り込めます。
各社のプリントについてのページあたりをみれば分かるかなと思います。

ミマキエンジニアリング様のサイトを参考出典させていただいております。

 

2.何メートルから頼めるの?生地の取り扱いは?生地は持ち込み?

染めたい生地の種類と、そのプリント方法が決まったら、次に決めないといけないのがプリントする生地。
何メートルから依頼できるのか、生地を在庫として所有しているのか、それとも持ち込みなのか気になる所ですが、1Mからオーダーできるところというのは限られています。1種類で50M以上オーダーしようとしている方は恐らく、どこでも対応してくれると思います。生地も手配してくれたり、持ち込み生地も大丈夫だと思いますので積極的に見積もりされると良いと思います。

しかし、このブログを読んでくださる方は1Mからプリントできたらと思っている方が多いとおもいます。
まずは小ロット対応、生地を所有しているプリント工場でオーダーで検索。これに尽きます。多少、コストが高いと感じても、自分で生地を持ち込むよりも安く、納期が短く、リスクが低いです。そのため小ロットの場合は、プリント工場が所有、あるいは通常使用している生地の中から選ばれるのが良いと思います。

布Lab.では1綿100%のブロード、カツラギ、オックス、ローン、シャンタン、コンパス、帆布11号を2017年9月1日取り扱っております。11M以上は発注量におうじて割引を行っているので、少し多めに発注したいという方がいればそちらもチェックしてみてください。

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持ち込み生地でのプリント工場の探し方は要望が多ければそのうち書きたいと思います。

3.サンプル生地が販売されているなら必ず買って比較!
サンプル生地は必要経費だと思って買ったほうが良い

同じ生地の種類で、同じプリント方法だから少しでもコストが下げるためにプリント代が安い方に…
プリントは各社それぞれのレシピが存在します。プリンターの解像度、データ処理の仕方、プロファイル設定、インクドロップ量、使用している生地の品質など、そのレシピは各社企業秘密になっております。

同じ値段でも、1時間待ちの美味しいお蕎麦さんもあれば、立ち食いで駅でさっと食べれるお蕎麦さんがあるように、生地のプリントでもプリント工場の各社のこだわりは違うので、サンプル生地が販売、配布されているなら必ず手に入れて比較することをオススメいたします!

弊社のプリント生地はこちらからご購入いただけます。商品と同額のクーポンを付けておりますので、布Lab.でプリントを検討されている方はご購入されても損はしないと思います。

 

 

4.最初の問い合わせメールに必要なこと

発注側から伝えるべきこと

以下の内容があればコミュニケーションがすごくスムーズになります。

  • どんな布を制作したいか 素材、在庫の生地
  • 今までに布のプリント制作は行ったことはあるのか?
  • プリントするデータの種類は何種類あるのか?
  • データの内容はリピートデータか?一枚絵か?
  • 納期はいつか
  • 相見積もり中なのかどうか

また、相見積もりかどうかを伝えずに話が進みまくり、デザインチェックをしてもらったり、サンプル出力をしてしまったりして発注しなかった場合は、制作会社に与えるダメージが大きくなります。精神的にも、金銭的にも。

かつ、その評判は意外とすぐに広まってもらうもの。「あの会社やあの作家、デザイナーはブラックだよ」と言われたりすることもあるかもしれません。

「現在●社に相見積もり中です」というのはしっかり最初に伝えましょう。テストサンプルをプリントして連絡が取れなくなるケースもあるときくのでプロの制作物と時間を買っているわけですから、プリントしてもらった時はお支払いしてくださいね。

よく頂く質問ですが、〇〇の生地はありますか?というもの。プリント工場によっては在庫を持っているかもしれませんが、生地屋さんではないので基本的に生地はよく使う生地以外は所有していないと考えたほうが良いです。

制作会社から教えてもらうと良い制作費の話

また、料金のことを下記の点について聞いておくとあとで聞いていた値段と違ったということがないと思います。

  • プリント代はいくらか?
  • 生地代込か?
  • 小ロットチャージはあるのか?
  • データを複数持込の場合は追加料金が必要か?
  • テストサンプル代金は?※

 

布Lab.の場合ですと

  • プリント代はいくらか?
    • M単価3500円(帆布のみ4500円)、同一生地であれば11M以上は割引対応
  • 生地代込か?
    • 生地代込
  • 小ロットチャージはあるのか?
    • なし
  • データを複数持込の場合は追加料金が必要か?
    • 1Mにつきデータ1種まで、10Mまで発注数に応じて最大10種まで対応。複数種データでも同一生地であれば11M以上割引対応
  • テストサンプル代金は?
    • M単価3500円。通常のプリントと同じようにご発注ください。

大量発注の場合は、制作会社しだいですが概算で算出してくれることもありますが、まずは制作実績をベースに費用感を聞いてみると良いかと思います。もちろん、実際の受注額と異なることはあるでしょうが、およその目安を知るにはそれで十分でしょう。

さいごに

いかがでしたか? 今回は発注までについてまとめてみましたが、これを知っているか知らないかで布づくりでできることもクオリティーも随分変わってくると思います。参考にしていただいて布づくりのパートナーをぜひ見つけてみてください!

布Lab.へご用命の際は、素敵な布づくりのサポートをさせていただきます!

2件のコメント

  1. 自分は傘の職人で今年の春から東京で工房を開いてオリジナルの傘を作っています。独自の生地を探すのが大変だった時にこのサイトにたどり着きました。藍染や着物の生地、浴衣の生地などは反でいろいろ買えるのですが、オリジナルの生地となるとどうしようと思っていました。是非一度ご相談させていただいてよろしいでしょうか。よろしくお願いします。

    1. Author

      お問い合わせありがとうございます。一度弊社メール宛もしくは問い合わせフォームよりにご相談内容をおきかせ願えますでしょうか。

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